いつか、きっと。
時間って、早い。
鏡夜が私の前に現れた時はまだ、梅雨の雨の匂いがしていたのに。
もう、夏が終わってしまう。
もう……鏡夜が、行ってしまう。
――――皐月。今日、家に来る?
優しい声が、聞こえる。
――――大丈夫。ちゃんと送るから。
優しい笑顔が、見える。
――――ダメ。今日は一緒にいたいから。
優しい温もりを、感じる。
あぁ、どうして。
「――――鏡夜ッ…」
私の中の鏡夜は、いつだって優しかった――――。