いつか、きっと。
ぽつん、と佇むひとつの背中。
何度も何度も追いかけて、何度も何度も抱きしめて。
――――…皐月。
そう、呼んでもらえるのが嬉しくて。
ねぇ、鏡夜。
「鏡夜……」
今、あなたは私の名前を呼んでくれる…?
「――――たまに、人が面倒になることがあるんだ」
振り返らずに、鏡夜はそう言った。
「気持ちがうまく整理できなくて、複雑に絡んで。人を傷つけたり、傷つけられたり」
鏡夜…
鏡夜の言葉が、胸に突き刺さる。
「全部…投げ出したくなる」
一歩足を踏み出すと、私の足元でジャリ…と小石が鳴った。