いつか、きっと。




ぽつん、と佇むひとつの背中。



何度も何度も追いかけて、何度も何度も抱きしめて。





――――…皐月。





そう、呼んでもらえるのが嬉しくて。



ねぇ、鏡夜。





「鏡夜……」





今、あなたは私の名前を呼んでくれる…?





「――――たまに、人が面倒になることがあるんだ」





振り返らずに、鏡夜はそう言った。





「気持ちがうまく整理できなくて、複雑に絡んで。人を傷つけたり、傷つけられたり」





鏡夜…



鏡夜の言葉が、胸に突き刺さる。





「全部…投げ出したくなる」





一歩足を踏み出すと、私の足元でジャリ…と小石が鳴った。
< 337 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop