いつか、きっと。




――――悔しい。



悔しくて堪らなかった。



何も言い返せない自分が。



これじゃまるで、それを認めてしまっているようなものなのに。



だけど、あんなにも優しく否定されて“そんなことない”と言い切れる自信はなかった。



だって、あれには私の本心が含まれているから。



鏡夜はそれも全部分かってる。



だから、否定した。





『皐月。俺、ひとつ勘違いしてたことがあるんだ』





苦笑混じりに鏡夜が言った。





『俺がこの世界に戻って来たのは、皐月が俺を呼んだからだと思ってた。皐月が俺を求めて、だから…』





私、が……




『早く…早く、帰ってきてよ………鏡夜……』




もしかして、あの時の…
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