いつか、きっと。




『もっと、生きたい…』



「ぅん…」



『もっと、もっと、もっと…っ』



「ッ、うん」



『皐月の、傍にいたかった…!』



「うん…っ」



『もっと愛してやりたい…っ』



「…っん」



『抱きしめてやりたい…!』



「ぅ、んッ」



『もう…離したくない…!』



「ぅ、ん…っ!」



『皐月…っ』



「っ、ん」



『愛してるよ…』



「ッ、ぅん…知ってる、よ…」



『皐月…』



「鏡夜ぁ…っ」





私たちは、声を上げて泣いた。



もうじき訪れるであろう“別れ”に泣いた。



自分たちの運命に泣いた。



鏡夜が愛おしくて、泣いた。



泣いても泣いても、涙は止まらない。



互いの名前を呼び合い、私たちは泣きつづけた。





「きょうやあぁっ…!」





私の涙は、鏡夜の体を濡らすことなく、地面を濡らした。
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