いつか、きっと。

いつか、きっと。





私たちの涙が止まった頃には、傾きかけていた陽はもうあと僅かしか顔を見せていなかった。



泣き疲れた私たちは手を繋ぎ、木の下で横になった。



サワサワと風が私たちの間を通り抜けていく。





「鏡夜…」



『ん?』



「…目が痛い」



『俺もだよ』




そっと鏡夜の手が伸びてきて、私のまぶたに優しく触れた。





「鏡夜の手、冷たくて気持ちいい…」



『分かるの?』



「ん…何となく」



『そっか』




ふわりと鏡夜が微笑み、つられて私も笑った。



穏やかな時間が二人を包み込む。
< 345 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop