いつか、きっと。
鏡夜
* * * * * * *
「これとこれと……あっ、上靴もいるよね…」
「――皐月。早くしないと、鏡夜くんが来ちゃうわよ?」
「〜っ分かってるよ!」
開けっ放しにしたドアの向こうに叫ぶ。
あーもうっ。
忙しすぎて訳分かんなくなってきた…
ハァ…とため息をつきながら、真新しいブレザーに腕を通す。
新品の独特の匂いが鼻をつく。
バタバタと朝から慌ただしいこの日。
それは、辛い受験勉強を終え、新しい生活が始まるから。
――そう。
今日は高校の入学式。
「……何かパツパツする」
そうつぶやきながら大きく伸びをしてみる。
腕が伸びると同時に、丈が上がってくる。
キュッとそれを下ろし、鏡の中の私を見つめた。