いつか、きっと。




中学校3年間はずっとセーラー服だったから、何だかカチッとしたブレザーは居心地が悪い。





「…変じゃないかな」





その場でくるりと一回転してみる。



紺色のスカートがふわりと揺れた。




もう一度鏡を覗き込んだ私は、鏡の端に小さく映っている人物に気づく。



私が気づいていないとでも思っているのか、笑いを噛み締めた表情を隠しもしていない。




ほんと、失礼なんだから……




振り返り、キッと鋭く睨みつける。





「楓!」





短く咎める。



すると、ははっと笑いながら私と同じ制服を着た楓が部屋に入ってきた。





「ばれてた?」



「バレバレだよ。鏡に映ってた」





そう答えると、あちゃー…と言いながら額に手を当てる楓。
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