いつか、きっと。




「そんな笑わなくたっていいじゃない…!」





私だって似合ってないことくらい、ちゃんと分かってる。



だけど、いくらなんでもひど過ぎる。





「楓の馬鹿っ!」



「おー、悪い悪い。かわいいよ、皐月ちゃん」



「〜〜っもう!!」





からかわれてる…!



何を言い返してやろうかと思案している私の耳に、また笑い声が聞こえた。





「っくく!似合ってねぇ……」



「――サク…」





いつのまにか楓の横に立っていたサク。



背が高いサクは、私とは違い、新しい制服を完璧に着こなしていた。



ストレートなサクの言葉に、思わず涙腺が緩んだ。



ひどい……



そんな言わなくたっていいのに…





「皐月。やめといた方がいいんじゃないか」



「似合ってねぇし」





くくくっと楓とサクが喉を震わせて笑う。
< 44 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop