いつか、きっと。
「ほら、泣かないで。今日は入学式だろ?」
鏡夜が私の体をふわりと抱きしめる。
鏡夜の胸に顔をうずめながら、行かないもん…とくぐもった声でつぶやいた。
「どうして?あんなに楽しみにしてたのに」
「だっ、て……」
「ん?」
私の声が聞き取りにくかったのか、鏡夜が私の口元に耳を寄せた。
鏡夜の匂いがする。
私の大好きな、鏡夜の匂い。
「っ似合わないって……」
「制服のこと?どうしてそう思うの?」
「か、楓とサクがっ……」
そこまでを話すと、鏡夜はそっと私の体を離した。
涙で濡れた瞳で見上げると、優しく微笑む鏡夜。
「とてもよく似合ってるよ、皐月」
そう言って、鏡夜の指が私の涙を掬う。