いつか、きっと。




こくこくと何度も頷くと、鏡夜が小さく笑う。



そして、私の耳に唇を寄せて囁いた。





「―――好きだよ、皐月…」





………ずるい。



私が先に言いたかったのに……



鏡夜はいつも先回りして、私を乱す。



いつもだったら拗ねる私だけど、今日はもっと鏡夜が欲しくなって。





「も、1回……」



「ん?」



「…もぅ1回…言って…?」





顔を鏡夜から離し、鏡夜を見つめる。



フッと破顔した鏡夜は、私の涙を唇で掬った。





「…っん……」





そして、軽く私の唇にキスを落とした後、鏡夜は笑った。





「…好きだよ」



「……っ、…」





幸せだった―…



好きな人に好きだと言われる以上の幸せって、この世に存在するんだろうか。
< 60 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop