いつか、きっと。
み、見られてたんだ……
真っ赤になって鏡夜から離れると、私は俯いた。
くすくすと頭上から鏡夜の忍び笑いが聞こえ、ますます顔が熱くなった。
「見られてたみたいだね、皐月」
「そ、そんな呑気なっ…恥ずかしい……」
頬に当てていた私の手を鏡夜は優しく解き、キュッと強く握った。
「鏡夜…?」
「手。繋いでおくんでしょ?」
鏡夜は微笑み、私に尋ねる。
みるみるうちに笑みが広がっていくのが分かる。
「うんっ!」
力強く頷いた私を見て、鏡夜は小さく頷いた。
「早くしろよっ!桜見るどころか、入学式に間に合わなくなるぞ!」
「ぇっ…!?」
嘘っ。
そんなの嫌だ!
入学式から遅刻するなんて、カッコ悪すぎる。