いつか、きっと。
遭逢、夢心地
鼓動がゆったりと動き出す。
「きょぅゃ、なの…?」
何度願っただろう。
何度夢見ただろう。
何度自分の人生を呪っただろう。
何度……君の名を叫んだだろう。
見慣れた黒く、艶やかな髪。
それを見た瞬間、私の体は震えた。
幻覚なのか、それとも夢なのか。
全く見当がつかない。
だけど……
『皐月』
懐かしい声が鼓膜を揺らす。
好きで好きで仕方なかった人。
会いたくて会いたくて仕方なかった愛しい人。
「――きょう、ゃ…」
大好きな鏡夜が、いつものように優しい笑みを浮かべながら、私の後ろに立っていた。