いつか、きっと。
『久しぶりだね、皐月』
“皐月”
そうやって再び呼んでもらえたことが、私の心をこんなにも鏡夜でいっぱいにする。
鏡夜が、鏡夜が。
―――笑ってる。
これは、夢…?
ぐいっと力いっぱい頬をつねった。
…………痛い。
「ほん、となの…?」
私の問いに鏡夜は黙って頷いた。
自然と溢れ出す涙。
それを拭いもせず、真っすぐに鏡夜を見つめた。
「、ど、して…?」
震える声で問う私に、鏡夜はフッと笑った。
半分だけ開けた窓から風が吹き込み、私の頬を撫でる。
『やり残したことがあるんだ』
やり残した、こと……
鏡夜が1歩足を前へ踏み出した。