いつか、きっと。




『それがどうしても気掛かりだった』





1歩、また1歩と、鏡夜が足を動かす度に私との距離が近づく。





『何か分かる?』



「…………っ、…」





嗚咽が邪魔をして、声が出ない。



ふるふると首を横に振る私の目の前で、鏡夜は足を止めた。



ゆっくりと視線を上げると、黒く澄んだ瞳と目が合った。




何も変わらない、美しい瞳。



その瞳を優しく細め、鏡夜が手を伸ばす。





『――皐月の涙を拭うことだよ』





静かに言いきった鏡夜。




指がそっと私の頬に触れた。



温かく優しい鏡夜の温もりが伝わる。
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