いつか、きっと。
どうしよう。
ここで食べなかったら、またお母さんに心配かけちゃう…
“あの日”のお母さんの辛そうな表情は、もう見たくない。
そんな顔をさせてしまったのは、他でもなく、私なんだけど。
でも、それを差し引いたってこれを食べるには相当な労力が必要。
時間だってあまりない。
学校に遅刻してしまう。
どうしようかと、しきりに悩んでいる私の視界に、私とよく似た色素の薄い瞳が映り込んだ。
驚いたように見開かれる瞳。
微かに震えているように見える唇から、絞り出された小さな声。
「――皐月…?」
その声がひどく懐かしく感じる。
力無く笑い、肩を竦めてみせた。