いつか、きっと。




鏡夜が肩を竦めたのを見て、お母さんに視線を移す。



お母さんはちょうど鍵を差し込みドアを開けようとしているところだった。





「っお母さん」





私の声にお母さんが振り返った。





「怒らない、の…?」





普通だったら、怒られても不思議じゃない。



学校をサボってるんだから。



なのにお母さんは咎めることもせず、理由も聞かない。



それどころか、快く見送る始末。




……何だか調子が狂う。





お母さんが少しの間黙り込み、ゆっくりと口を開いた。





「皐月だからよ」





柔らかく微笑み、お母さんが話を続ける。





「楓だったら怒るわ。どうせ、だるかったからとか言うんだろうし」





その言葉を聞いた、隣の鏡夜がくすくすと笑った。
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