いつか、きっと。
『すごい言われようだね』
「うん…」
そんな鏡夜の言葉に苦笑する。
「…でも皐月は違う。皐月は真面目だから」
乾いた風が私のスカートを揺らした。
少し乱れた髪を耳にかける。
「そんな皐月が学校を途中で抜け出すなんて、よっぽどのことがあったんでしょう?そうじゃなかったら、皐月がこんなことするはずないもの」
そうでしょう?
そう尋ねられたけど、何も答えられなかった。
そんな私に気にするそぶりも見せず、お母さんは買物袋を持ち直した。
「皐月が言いたくないなら無理に理由も聞かないから。スッキリするまで考えなさい」
「お母さん……」
「でも今回だけよ?次からは皐月でも許さないからね」
厳しい言葉の割に、柔らかすぎる声。
お母さんの優しさが伝わってくる。