いつか、きっと。
「懐かしいなぁ……」
そっと、太くたくましい幹に手を寄せる。
ゴツゴツとした幹をゆっくりと撫でた。
『何にも変わってないね』
私の隣に鏡夜が並び、この大樹を仰いだ。
大きく深呼吸をすれば、豊かな自然の匂いが肺いっぱいに染み渡る。
私とサクが高校生になってから、自然とここから足が遠のいた。
必要がなくなったんだ。
同じ学校だから、わざわざここに来なくてもみんなに会えた。
少しずつ来る回数は減り、最近では全く来なくなっていた。
「ごめんね……」
小さくつぶやく。
ずっと昔から私のことを見守り続けてくれていたのに。