いつか、きっと。




「ごめんなさい…」





再び口にすると、柔らかい風が吹いてきて葉を揺らした。



それはまるで、この木が笑っているみたいで、自然と笑みがこぼれた。





『皐月』



「許してくれたかな…」





隣にいる鏡夜を見上げると、フッと顔を和らげて笑った。





『もちろん』





そう言って鏡夜は私の頭に手を乗せた。





『ここに来なくても、ずっと俺たちのことを見守ってくれてたと思うよ』



「ほんと…?」



『うん。だってあの日も俺たちのことを見てくれてたでしょ?』





“あの日”というのは、きっと私たちの想いが通じ合った日。





―――ここは私たちの始まりの場所。




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