いつか、きっと。




会えたってこと。



笑顔が見れたこと。




鏡夜の姿を見たら、もっと貪欲になってしまった。





ほんと、自分が嫌になる。





「っ早く、会いに来てほしかったよ……」



『皐月…』



「きょや、の、ばか…」





息が震え、小さな嗚咽がもれる。



ギュッと瞳を固く閉じると、熱い涙が頬を伝う。





『皐月、よく聞いて』





耳元で鏡夜が囁く。



私の乱れた姿にも動じることなく、鏡夜の声は静かだった。





『俺だって、早く皐月に会いたかった。辛かったのは俺も一緒』



「うそ、だ…」



『嘘じゃない。本当だよ』





優しく、だけど力強い声で鏡夜が私を諭す。
< 93 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop