いつか、きっと。




鏡夜が私の前に現れなかった理由。



それは―…





『現実を皐月が受け止められなくなると思ったんだ』





時間を空けることによって、私に“鏡夜がいない”という現実をちゃんと受け止めさせるため。





『ほら、だって皐月泣かなかったでしょ?それはきっと現実を見てなかったから』





鏡夜はちゃんと分かってたんだ。



私が涙を流さない本当の理由を。



どんなにカッコつけた理由を並べても、本当は現実を見ていなかった。



……ううん。



見ようとしてなかった。





『だから待ってた。皐月が泣いた時は、きっともう大丈夫だと思ったから』





―――鏡夜。



あなたは本当に優しい人。
< 95 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop