天神学園高等部の奇怪な面々
「け、啓太…？」

啓太の変貌に驚くアリスカ、そしてその場にいた面々。

彼らの前で、リョウタと呼ばれた人格はアリスカの痛めた腕を高く持ち上げ。

「あうっ！」

少し強引に彼女の外れた肩関節をねじ込む！

「痛くして申し訳ないね…だけどこれで安静にしておけば痛みもひく筈だよ」

同じ顔、同じ人間とは思えないような安心感を与える表情で、リョウタはアリスカに微笑みかけた。

「あ…あのっ…」

目の前の啓太が、まるで見知ったクラスメイトとは別人のような気がして。

「貴方は…啓太ではないんですか…？」

アリスカは問いかける。

「ん…まぁ正確に言うと啓太ではないね」

リョウタは啓太の顔で苦笑いした。

…啓太には三人の親戚がいる。

いつも飄々としてどんな危機に陥っても動じる事のない占い師の女性・深幸（みゆき）。

高校陸上界のホープで、数々の大会で記録を更新してきた天才スプリンター・理子（りこ）。

故人ではあるがあらゆる医学に精通し、本業の精神科医としてメンタルケアに従事してきた亮太（りょうた）。

三人とも啓太にとって羨望の対象であり、同じ一族でありながら啓太とは違う恵まれた才能の持ち主である彼らに、いつも憧れていた。

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