同居の秘密。【完】
「わかりました…。波留さん、ありがとうございます」
「俺に礼を言うなよ。…ん、そろそろ帰るかな。旦那様にバレたら困るからね」
はは、と笑いながら波留さんは玄関へ向かう。
それに私も着いていく。
波留さんが靴を履き終え、ドアに手を掛けたが、こちらを振り向く。
「千春、色々と気をつけろ。これからもずっと気を抜くなよ」
「え…?どういう事ですか…?」
「いや、何でもない。じゃあな、また来るよ」
───バタン。
ドアの閉まる音だけが虚しく響く。