同居の秘密。【完】


こんな親父を見るのも初めてで、俺に謝るのも初めてで。


頭の中が整理しきれない、この状況を。


「………あのさ、頭上げてくれよな。どうしたらいいのかわからなくなる」


本音を言うと、親父はゆっくり顔を上げた。


こんな行き詰まってない親父の顔を見たのはいつ振りだろうか。


こんなに穏やかで、柔らかい表情──。


母さんが生きていた時にしか見たことがなかった。



 
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