同居の秘密。【完】
口に入れた瞬間、翔さんは初めて私に笑顔を見せた。
その笑顔に私は赤面し、息を飲む。
「美味い!」
微笑みながら私の作った料理を食べてくれている翔さん。
それだけで私は嬉しくて堪らなかった。
こんなに喜んでくれるなんて。
作って良かった。
私もつられてニコニコしてると、いつの間にか翔さんはペロリとご飯をたいらげていた。
そして魔法が解けたように、昨日の翔さんに戻った。
「…本当に旨かった。人の手料理を食べたのは数年振りだったから」
「お母さんは…」
「俺が中学生の時に死んだ」
え………?
自分が聞いたのに罪悪感でいっぱいになってしまった。
「…ごめんなさい…」