ネコ×ライオン
大変だった朝会は終わり、あっという間にもう放課後だ。
「晴海、一緒に帰ろ」
「うん!
華、ちょっと待ってて〜」
「はあ〜い」
入学式の日から華とはいつも一緒にいる。
「お待たせぇ〜」
―グイッ!
「あで!」
急に何者かに襟を引っ張られた。
「…晴海?
早く行こ―…」
振り返った華は少し驚いた顔をした。
「亘…君?」
…え?
「こんにちわ、
華さん…ですよね?」
え?
…え??
「はい、そうだけど…」
何?何?!
美男美女が会話してますよ!←?
「ちょっと、晴海さんを借りても良いかな?」
え!?
いやいや…
もちろん華は断るでしょ!
だって今日は帰りに遊ぶ約束してるし!
「あ…」
一瞬私と目が合う。
その時、少し華の口元が緩んだ気がした。
「うん、
良いよ♪」
うおぇえええ!?
華ぁ??!
そこは断ろうよ!!
「あ、ホント?
ありがとう」
キラキラsmileをかましやがる王子野郎。
「うん」
それに全く動じない華。
初めて見たかも…
私以外に喜ばない人。
それに少し驚いたのかアイツは表現が一瞬変わった。
「じゃあね
晴海♪」
「え!?ホントに行っちゃうの?!」
華は私の言葉なんか聞こえなかったみたいに笑顔で手を振って私の前から姿を消した。
そんなぁ〜…
今、教室は私達のたった二人だけだった。
気まずいよ…。
「おい」
「はい…」
「朝の…覚えてるよな?」
「…うん」
「ビンタしたのも?」
「……うん」
「良かったな」
「え?」
「それも忘れてたらもっと酷い事したんだけど…」