【短編】『おもいで文集』
―それからまた来た道を戻った。
バスに乗った。

学校帰りの学生がたくさんいた。

私が着ていた制服の学生もいる。


窓辺から射す赤い夕日が眩しい。
終始無言が続いた。
車内は学生の声が響くだけ。

私からも話そうとも思わない。お互い疲れたのかも知れない。


左手に文集…
右手に蓮の手…

それだけで良かった。
通じ合っているんだ。

満足。


そしてバスを降りて山手線へと向かおうとした矢先に、携帯が鳴った。




私の携帯だった…。
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