【短編】『おもいで文集』
ごめん。
蓮の手を離した。

受話器ボタンを押す。
誰からの着信か確認するのも忘れて出た。


『はい。』


―…アツシだけど


彼氏だった。

でも元カレと私は呼ぶ。

『なに?』

『今朝は悪かった』

『は?』

『いや、だ…だから…浮気…』

『なに言ってんの?今更。』


『アツシ…』


『…』


『バイバイ』


『未南子…』


『もうあんなの見たくない。だからね、さようなら。バイバイ…終わろう』



そしてそ~っと電話を切った。

―未南子
と叫ぶ声が聞こえていた。
態度が冷たいかも知れない、でも私は傷ついたんだ。



そしてアドレス帳を開いて…
一番上にあった―アツシを消した。


いろんなことを一気に思いだしたけど…それも消した。


昨日までの自分と今日の今の自分。
ぜんぜん違うんだから。


携帯をカバンに入れて蓮の元へ戻った。
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