【短編】『おもいで文集』
虚しく誰に会うわけでも無いのに、化粧をする。

ロングマスカラをつけたり、シャドーを乗せたり…。



いつもと何も変わらずに…平然と化粧をしてる自分がスゴいと思う。


バギーのデニムに細身のカーデに古着屋で買った小さなショルダー。


そしてそんなに大きくない段ボール箱を抱えて家を出ようとした。


―衝動的に段ボールにモノを全部入れて売る。
いいのかな?
全部売っていいのだろうか。

いまさら玄関で躊躇ってしまった。
でも『売る』と決めたから『売る』
頑固に言い聴かせた。



そしてガチャンと玄関のドアの鍵を閉めて段ボール箱を抱えた。

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