秘密のMelo♪y②*パリ編*
――蓮二サイド――
家路につき、のんびりと歩きながら思った。
どうにもあの二人は……見ていてもどかしい。
一見うざったいくらいラブラブなカップルなのに、ふたを開けてみればなんてことはない。
互い両想いのくせに進展しないじれったい二人だ。
どちらも天才と謳われる…僕ら一般人から見れば雲の上の世界の人間。
実際に会うまでは本当にこの世に存在するのかとさえ思った。
…存在する。
それどころじゃない。
彼らは何と言われようとも、僕達となんら変わりないただの人間だ。
悩みもすれば恋もする。
笑いもすれば、泣きもする。
なにも、変わらない。
そう思ったとき、なぜかすごく嬉しかった。
誰しもの憧れで、羨望の対象である二人。
僕も例外ではなく、彼らの才能に羨望を抱いていた。
同時に憧れ……そして同時に妬んだ。
そんな二人が身近にいて、同じ時間(とき)を過ごしていた。
妙に、嬉しかった。
「…柄じゃない……な」
フッと口元に笑みをこぼしながらそう呟いた。