秘密のMelo♪y②*パリ編*
思わずため息をついて携帯を取り出し、星野楓の文字を表示させた。
―トゥルルルル
数回のコールのあと、フルマラソンを二回くらい連続して走ったような疲れた声が直接耳に飛び込んできた。
『蓮二か…』
「馬鹿だね君。外に出たのか?」
『んなわけねぇだろ…。タイミング悪く、俺がこっちにいる時にそういうこと言いだす輩が出ただけの話だ』
「なるほどね…」
なんだ…。
さすがに出はしないか。
よく考えれば彼は僕より慎重だ。
それに自分のことなんだから、そんなミスを犯すはずがない、か…。
「どうすんだい? 嘘とはいえ目撃情報ってことで半ば確信を持ってるし……第一いるの、事実だし」
『知らねぇよもう…あーめんどくせぇ』
心底疲れているんだろうと思えるその声色に思わず苦笑しながら、ちらりと横目で報道陣を見やる。
「仕方ないね…。ま、元々僕はこういう時のために一緒に帰ってきたわけだし」
『は?』
「助けてやるよ。ただし十分だ。十分しか持たないだろ。その間に何とかしろ」
『お前なに言って…』
不審そうな声を上げる彼だけど……すぐに気付くはずだ。
自慢じゃないが僕は頭がいい。
しかし彼はさらに上回って……頭の回転が利くんだ。