秘密のMelo♪y②*パリ編*
一方的に電話を切り、物陰に隠れてなんとか星野家の裏に回った。
「おい! 今人影が…」
…よし。
僕と彼は背格好はだいぶ似ている。
身長もほとんど変わらないし、体型だってほぼ同じと言える。
帽子でもかぶれば少しは騙せるだろう。
フードをかぶり、わざと見つかるように、裏口から出てきたように見せ……駆けた。
「あっ! いたぞ!!」
案の定報道陣はこっちを追いかけてきて…。
たぶん、表にはもういないはず。
今のうちに家を出るなりなんなりするんだな。
君のことだ。もう分かってるだろう…。
体力には自信があるし、なにも馬鹿正直に逃げることはない。
追いかけっこじゃないんだ。隠れつつ見失わせない程度に…。
そうして逃げ回ること約十分。
撒こうと思えば撒けるところだというのに気付き始める頃。
バレないうちにさよならすることにした。
「あ!? 消えたぞ!」
乱れる呼吸を整えながら……そんな自分に苦笑する。
「ほんとに、柄じゃない…な」