秘密のMelo♪y②*パリ編*
「……」
返事のない俺を肯定と受け取ったのか…。
「やっぱり…きらいなんだ…」
そう呟いて、人差し指を突き付けてぐるぐる回してくる。
しかも地味に痛い。
なんなんだ一体。
「…………きだっつったろ…」
「……え?」
…なんなんだよ。
この俺に二度も三度も言わすんじゃねぇよ。
「好きだ…っつったろ」
……マジで、なんで俺こいつにこんな惚れたんだよ…。
天才というべきはバイオリンだけじゃなく、その天然さも天才級だし。
男に対して羞恥や警戒というものがなさすぎるし。
その無垢さゆえに、悩む必要のないことにも悩まされるし。
…それでも……惚れたものは、仕方がない。
お前が西を向けば、俺はその後を追いかけよう。
気まぐれに向きを変えれば、またその後を追いかけよう。
いつか……気まぐれに振り向いてくれる時が来るまで。