秘密のMelo♪y②*パリ編*
―それからかれこれ一時間。
二人きゃっきゃとはしゃぎながらも、まったく決める気配がない。
「あ、帽子こっちに変えたら?」
「おー」
「パリっぽーいっあはは」
『お決まりですか藤峰様?』
『もうちょっと~』
『かしこまりました』
もう少しという言葉は嘘ではなかったらしく、数分後にはようやくあれとこれとと買うものを決めていった。
「ところでこれいくら?」
「んっとねーこのへんは六百二十ユーロからかな」
ろっ……?
…さすがは藤峰家令嬢…。
「なにそれいくら?」
「……いくら?」
当然、振り返って俺に聞いてくるわけで…。
「…日本円で七万くらい?」
「なな……」
変動はあるものの……まあそんくらいなはず。
そんなものを十個も二十個もぽんっと買おうとするあたり、本当にお嬢様だなと思う。
『じゃあこれとこれ以外日本に送ってくれます?』
『かしこまりました。毎度ありがとうございます』