秘密のMelo♪y②*パリ編*
動き出す、運命の歯車
――真裕(真緒)サイド――
「ぱがにーにぃ!?」
……開演一分前。
あたしは思わず叫んでいた。
「ぱっ……ぱがにーに?」
……開演五十六秒前。
あたしは思わず聞き返していた。
「あの…ぱがにーに?」
……開演五十秒前。
あたしは思わずもう一度聞き返していた。
だって…。
かっくんのソロ曲、パガニーニだって!
あの超絶技巧のパガニーニ!
それをぶっつけ本番ですって!?
いっくらなんでも無理だと思う。
「そうは言ってもこれは決定だ。事前に聞かなかった方が悪い」
「普通聞かれなくても言うと思います」
「…………それもそうだ」
もっと早く…。
出来れば一ヶ月前に気付いてほしかったかな、うん。
まあ、来年には活かしてよね。
「変更変更」
かっくんが楽譜とにらめっこで何も言わないから、代わりにあたしが文句を言ってやった。
「へ、ん、こ、う!」
「む、り、だ!」