秘密のMelo♪y②*パリ編*

―それからかれこれ数時間。

いつの間にか窓の外は暗くなっていた。


「ねえね。ご飯って来ないの?」


腹が減ったのか、急にそんなことを言い出した真裕。


「ここは下に食いに行くんだよ。レストランがあったろ?」


「…………え?」


…なんだよその信じられないっつー顔は。


「え、ここに来るんじゃないの?」


「……お前あの家でも自分の部屋に飯持って来られてただろ」


「え、だってそうでしょ?」


「ハア……」


蓮二は薄々感づいていたと言った。

それはどっちかというと、このずれまくった世間観からなんだという。

それで相当なお嬢様だろうなと思い、加えて一度だけ聴いた演奏で一人に絞ったらしい。

見事に当たりなわけだが……。


…さすがにここまでとは思ってはいまい。


「まあどっちにしろ顔見られるわけにもいかねぇしな、念のため」


五年間一度も顔を出さなかった真裕はともかく、俺はこれでもつい最近まで顔を出されまくっていた身だ。

最近じゃそういったものは控えているものの、記憶には新しいだろう。

バレちゃ終わりだ。


< 40 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop