秘密のMelo♪y②*パリ編*
―それからかれこれ数時間。
いつの間にか窓の外は暗くなっていた。
「ねえね。ご飯って来ないの?」
腹が減ったのか、急にそんなことを言い出した真裕。
「ここは下に食いに行くんだよ。レストランがあったろ?」
「…………え?」
…なんだよその信じられないっつー顔は。
「え、ここに来るんじゃないの?」
「……お前あの家でも自分の部屋に飯持って来られてただろ」
「え、だってそうでしょ?」
「ハア……」
蓮二は薄々感づいていたと言った。
それはどっちかというと、このずれまくった世間観からなんだという。
それで相当なお嬢様だろうなと思い、加えて一度だけ聴いた演奏で一人に絞ったらしい。
見事に当たりなわけだが……。
…さすがにここまでとは思ってはいまい。
「まあどっちにしろ顔見られるわけにもいかねぇしな、念のため」
五年間一度も顔を出さなかった真裕はともかく、俺はこれでもつい最近まで顔を出されまくっていた身だ。
最近じゃそういったものは控えているものの、記憶には新しいだろう。
バレちゃ終わりだ。