秘密のMelo♪y②*パリ編*

真裕父が言った瞬間、真裕は一瞬俺を見て切なげに眉をしかめ、踵を返して自室に飛び込んだ。

慌てて後を追う花梨。


「ま……。あ、あの…えーと…」


その方向に手を伸ばしかけては、真裕父と見比べる修平。

…何もお前が戸惑うことねぇだろうに。


「……あれは本当に君が大好きなようだ。離れたくないんだろう」


「……」


「だが分かってもらわねばならん。楓くん、早く行きたまえ」


行く……。

もう、か…?

真裕にあんなこと言っちまって…そのまま?


「楓…」


未だ戸惑いまくる修平がポツリと呟く。


「……来たときと同じとこで…いいんですよね」


「楓…!」


「ああ。すまないね」


「いえ」


短く答え、真裕の部屋を見つめてから裏口の方へ足を進めた。


「お、おい楓!」


今は……逆にこの方がいいのかもしれない。

真裕を困らせた。戸惑わせた。

しばらく会ってやらないほうが……いいのかも、しれない。



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