青空と銃声
祭りと客人

七の月の新月の晩は、この村にとって大切な日だった。

『聖霊祭』

村の者は、その日一日をそう呼ぶ。




ロビンが村に戻ったのは、西の空に燈が混じり始めた頃だった。
父の言いつけ通りに摘んできた、薬草の入ったかごを抱えたロビンはお気に入りの帽子を深く被り直しながら、チラチラと周囲に目をやる。

朝よりも、もっと騒がしくなっている。

おそらく、半刻ほど前に運ばれた怪我人の所為だ。
唯でさえ今日は村にとって「特別な日」なのに、その上こんな辺鄙な村に外から人が、しかも、その人はこの国の人間には有り得ない、髪色をしていたのだ。
噂話に火がついた今や、女だけでなく男まで仕事の手を休めて木陰で話し込んでいた。

それだけではないのだ。

すれ違った少女の一団は、いつもよりも一層めかし込み、その中の一人がふと足を止めてロビンを呼んだ。

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