青空と銃声
「何言ってるの! そこが重要なんじゃない!! こんな辺鄙な村よ? 旅人さえも滅多に近寄らない。そんな村に外から、しかも皇都(おうと)から若い男の『祓魔師』が二人も来るなんて……本当にもう、村長一家に感謝だわ!!」
本来なら、祭りのメインである『鎮めの儀式』を執り行うのは村長と、村の祭司を務めるその息子だった。
しかし今年は体調不良を理由に外から専門家を呼んだのだ。
それを喜ぶなんて、とロビンは思ったが口にしなかった。
どうせ十倍になって返ってくるに違いない。この年頃の女の子は、どうも口が上手いから苦手だ。
「それにしても、その問題の祓魔師たちはどうしたんだ? 祭りは今晩だってのに、全然来ないじゃないか」
若い男、に激しく反応しているらしい少女に皮肉るように言うが、全く利いていない。
「あら。それならさっき、もうすぐ到着するって連絡が来たらしいわよ? だからそろそろなんじゃないかしら?」
そういう少女の顔はよっぽど楽しみらしく、生き生きと輝いていた。
分んないなあ、とロビンは呟いて、はっと今まで自分が抱えていた籠を見た。中には先ほど摘んできたばかりの薬草が入っているが、どれも萎れかけていた。