青空と銃声
「しまった、ボク仕事の途中なんだった!!」
「お父さんの手伝い? ――ああ、あの怪我人ロビンの所に運ばれたんだっけ? で、大丈夫だったの? あの人。血だらけって聞いたけど……」
「ああ、うん……出血の割に大した怪我してなくてね、骨折はあるけど命に別条は……」
焦りながら自分が見た限りの事を上の空で伝えていると、目の前の少女が身を強張らせるのが見えた。
「え、何……――?」
「……死んで、無いのか」
耳慣れない、声がした。
驚いて、背後を――少女の視線の先を見る。
いつの間にか、周囲に村人が集まっていた。その輪の中心に居るのは、この村で見たことの無い長身の男だ。
肩から足までを覆うように風砂除けの外套を纏い、腰には変わった形の剣を下げている。
そして、その胸元に揺れるのは太陽を模した首飾り。その中心に嵌め込まれた見た事もない程純度の高い『灯垂石(フローライト)』の輝きは、紛れもなく彼の身分を示している。
―――『祓魔師(ふつまし)』
今年、聖霊祭が近付くにつれてあらゆる噂の流れた人物。皇都から招いた『祓魔師』が、その場に立って、ロビンを真正面から見据えていた。