青空と銃声
神の石

世界で最も大きいと言われるメギ大陸の、その大部分を占める国、それが此処、コ・リト皇国である。


首都をデーツ、国教をフォイニクス教と定めるこの国は、東側から南側を海、西側を砂漠、北側を世界最高峰のセイロニッケ山脈で囲まれた自然豊かな世界一の火生岩(ペグマタイト)産出国だ。


割れるほどの強い衝撃を与えると、その石が燃え尽きるまで消えない炎を出す、文字通り発火石である火生岩は、その原理が未だ不明ながらも、便利さから世界中で燃料や火種として用いられている。
 
中でも特に純度の高い物を「灯垂石(フローライト)」と呼び、その特性もあって、こちらは主に祭事用として教会関係者に扱われていた。

即ち。

この世の始まりと同時に存在したと伝わる、全ての生物に有害な「瘴気」に対抗する唯一の手段として。

穢れを焼き払う神の炎、「灯垂石(フローライト)」は聖職者や祓魔師の象徴であり、武器であった。

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