短編集♯恋燦々
目の前のこいつ
「ねー、わたし好きなんだよ。」
「あっそ。俺は嫌いだけどな。」
「‥‥でもわたしは好きだからねっ!」
いつもの帰り道。
いつもの会話。
こいつは前々から俺の事を好きだって言ってくる。
最初は鬱陶しかったけど、こいつを観察しているうち不覚にも俺も好きになってた。
‥‥だからって今まで"嫌い"とあしらって来た俺としては素直に言いにくく。
相変わらずこいつに"嫌い"と、思ってもないのに言ってしまう。
今日の目の前のこいつはどこか寂しげな笑顔。
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