空の奏
Ⅰ楽章
「・・うるさい」

放課後になるといつも思う
HRが終わった途端クラスの皆が騒ぎ出す


教室はあまり好きじゃない
クラスメートともあまり絡まない
向こうから絡んできたら・・まぁ、適当に返す



そんなかんだで私はそうそうに教室を後にする
向かう先は決まってる



音楽室



「・・・・はぁ」

音楽室に近づくにつれ音が聞こえて来る
吹奏楽の音


フルートにクラリネット

サックスにホルン

それから・・トロンボーンにパーカッション


吹奏楽は金管・木管・打楽器で成り立つ



「みんな早いよねー・・来るの」


そう呟き音楽室に入る

ま、誰も気づかず楽器を吹いてるけど


私も慣れてるから楽器庫から自分の楽器を出す



私の小学校からの相棒


トランペット



鞄を音楽室の端において譜面と楽器を持ち音楽室を出て行く




向かうは屋上

誰にも邪魔されない場所


「譜面よし、雑巾よし、譜面台よし・・と」


慣れた手つきで準備をしてケースからトランペットを取り出す


「今日も頑張ろっか、聖斗」


聖斗っていうのはトランペットの名前

名前付けてるのは恥ずかしいから言わないけど




マウスピースを口に当て音を出す


私はこの音が好き

でもトランペット自体の音の方がもっと好き



マウスピースをトランペットに付け音を出す




そうだ、この音


聞きなれたこの音



ハッキリとした遠く響くこの音



この時間が大好き


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