空の奏
やがてそいつの演奏が終わる
「(終わった・・?)」
顔だけ見ようと近寄ると
「あ、」
カサッと草を踏む音が鳴ってしまう
「え?」
「(あ~・・やっちゃったー・・)」
そいつが首を傾げて振り返る
「・・・・」
「・・・・」
「・・・えーと、聞いてた?」
「・・聞、いた・・」
「うっわ~、マジ?」
「一応・・マジ」
落ち込んだような恥ずかしそうな顔をしてたそいつは
とつぜんハッと顔を上げる
「その制服!桜藍の生徒だろ?」
「え、あ、まぁ・・」
「俺、明日から桜藍に通うんだ」
「転入生・・なんだ」
「と、遅れたけど俺は飛佐井翔。高2だ」
「えーと・・音羽智、同じく高2」
「おっ!同い年、よろしくな智!」
「(いきなり呼び捨て・・)よろしく、飛佐井くん」
「翔でいーって!な?ここで逢ったのもなんかの縁だしよ!」
「・・じゃあ・・か、翔?」
「それで!」
なんだかだんだんこいつ・・じゃなくて、翔のテンションに流されてる気がする←
「あ、やっべぇ!時間が・・っと、智またな!」
「あ、うん。また・・」
そんなかんだであっという間に去ってった翔
「(よくわかんねぇやつ・・飛佐井翔、かぁ・・)」
よく分かんないやつだったけど
確かに実力はある
きっと吹奏楽に入る
「(いいライバルかもなー・・)」