15歳のラビリンス


怒りはおさまらず、私はそのまま学校へ行く準備をして、家を出た。


もちろん、行ってきますっていう言葉さえ言わず。



いつもより1時間も早い通学路は、サラリーマンや高校生が行き交っていた。


こんなに早く行ったって、職員玄関しか開いてない。



勢いで出てきちゃったけど、どうしよう…。




「早いじゃん。そんなとこで突っ立って何してんだよ?」



とりあえず学校の周りを一周歩いてみようかなと思ってたら、後ろから声をかけられた。


振り返ると、そこにいたのはサッカー部主将のアツシ。


アツシも制服姿で学校へ行くみたいだった。



「え?あ、うーん…」


「また、おばさんに怒られた?」



ニヤニヤしながらアツシが言う。



私はやれやれと、ため息をついた。


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