15歳のラビリンス


「そういや、お前、2年の仁哉と付き合ってるって?」


「…え?あ、う、うん…」



ジャージに着替えて、ベンチに座りながらスパイクの紐を結んでる。


アツシの口から聞かれるとなんか変な感じ。



…先生と同じ事言うのかなぁ。


付き合うのはやめたほうがいいって。



「…仁哉、見かけはチャラく見えるけど、中身はずいぶんしっかりしてるよな。深川のほうが寄りかかってるだろ?」


「…へっ?!」


「頑張れよ。こんな時期だからいろいろ言われて嫌だろうけど、こういう時期だからこそ必要なのかもしれないしな」



アツシはそう言うと、ボールを蹴りながらゴールのほうへ行ってしまった。



てっきりやめたほうがいいって言われると思ったのに…。




…アツシはちゃんとジンの中身を見てくれてるんだね。




…ありがとう…。


誰かにそう言ってもらえると、心が軽くなる…。



< 107 / 338 >

この作品をシェア

pagetop