15歳のラビリンス
「そういや、お前、2年の仁哉と付き合ってるって?」
「…え?あ、う、うん…」
ジャージに着替えて、ベンチに座りながらスパイクの紐を結んでる。
アツシの口から聞かれるとなんか変な感じ。
…先生と同じ事言うのかなぁ。
付き合うのはやめたほうがいいって。
「…仁哉、見かけはチャラく見えるけど、中身はずいぶんしっかりしてるよな。深川のほうが寄りかかってるだろ?」
「…へっ?!」
「頑張れよ。こんな時期だからいろいろ言われて嫌だろうけど、こういう時期だからこそ必要なのかもしれないしな」
アツシはそう言うと、ボールを蹴りながらゴールのほうへ行ってしまった。
てっきりやめたほうがいいって言われると思ったのに…。
…アツシはちゃんとジンの中身を見てくれてるんだね。
…ありがとう…。
誰かにそう言ってもらえると、心が軽くなる…。