15歳のラビリンス
時間がたつにつれて、登校してくる生徒が出始めた。
そろそろ昇降口も開いただろうと思い、立ち上がる。
「アツシ、ベンチありがと。そろそろ行く」
「そっか。まあ、頑張れよ」
ボールを蹴り上げたアツシは手をあげてそう言った。
私はうなずくと、カバンを手にして昇降口へと向かう。
それでも、いつもよりずっと登校が早かった。
教室に入ると、彩乃がいた。
「彩乃、おはよー」
「美織、こんな早いの珍しいね」
「うん、ちょっと家でゴタゴタあって…」
忘れてたのに思い出していやな気分。