15歳のラビリンス
うちの学年が比較的穏やか過ぎて、一つ下の二年生が目立っちゃってるところはある。
歴代の先輩達みたいに派手にやらかす事はないけど。
ヤンキーな先輩たちと繋がりあるみたいだし。
で、その不良君がなんでこんなとこにいるの?!
そのカッコとこの空間、めちゃくちゃミスマッチなんですけどっ!
「これ、使うなら……」
本を取り出して、私にスッと差し出してきた彼。
彼の事は噂でしか聞いた事ないから、意外とマジメで優しいのかもしれない。
「あ、でも、私は急いでないので……」
「んじゃ、オレが使う」
譲り合いになるかと思ったのに、彼は遠慮のかけらもなく、本を自分の物にした。