15歳のラビリンス
「そっか。貴昭、彩乃も受験生なんだからケガさせないように気をつけてよ?」
「わかってるって。お前も意外に抜けてるからその辺で転ぶなよ」
いつものようにヘッと笑いながら貴昭はそう言った。
これ以上、二人といても仕方がないので適当に話を終わりにして私の方から立ち去った。
二人には悪いと思ってる。
彩乃が貴昭と幸せでいてくれる事は願ってるんだけど…。
今の私には二人の姿は辛い。
私がちゃんとしてたら、今ごろ私だってジンと一緒にいられたのにって…。
そういう思いばかり。
「美織~!」
「カンナ、ごめーん」
待ち合わせ場所についた時には、約束の17時を少し過ぎてしまってた。