15歳のラビリンス
「美織、行くよ」
「あ、彩乃…?」
カンナの様子をうかがいつつも、彩乃に引っ張られて私は昇降口を出た。
一体どういう事…?
去年、カンナが友達の彼氏を奪ったって話は何?
「彩乃、今の話…」
「…2組のさっちゃん。何で去年、ユキオと別れたか知らなかった?」
2組のさっちゃんは、私と1年の時同じクラスで、今でも塾が同じだから時々話す事あるけど、ユキオと別れた理由は知らない。
ユキオは私と同じクラスでこれまた、塾も同じ…。
上手くいってたように見えてたから、別れた時は私もショックだった。
「ユキオがカンナの事好きになったから…だってさ」
そう言った彩乃の目はひどく冷たいものだった。